人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理審査
【研究を始める前に】
臨床の現場における薬剤師においても積極的に研究を行い、学会発表や論文投稿を行うことが求められておりますが、たとえアンケート調査を行い、その結果を発表する場合でも、インフォームド・コンセント、利益相反、個人情報の保護等、多岐にわたる配慮が必要となり、第三者による客観的な審査が必要となる場合があります。
人を対象とする医学系研究については、平成26年に「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が制定・公布され、その後「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」)が制定され、令和3年6月30日より施行されました(令和4年3月一部改正)。
人を対象とした臨床・疫学研究の実施にあたっては、本指針に則って進めることが求められており、薬剤師が活動する分野の研究においても、倫理審査が必要かの判断、並びに必要なものについては倫理審査を受けることが必須となります。
●その研究は倫理審査が必要ではないですか
人を対象とする研究で学会発表、論文投稿の対象となるものについては、研究計画の立案時点で研究計画書を作成し、倫理審査を受けることが必要となる場合があります。
(※1)指針の対象となる研究はガイダンスに例が記載されていますので、ガイダンスp.4~p.6をご確認ください。
(※2)「症例報告」は、「研究に該当しない1症例毎の報告」の場合には該当しない、という解釈をしています。
複数症例についてデータをまとめて発表等を行う場合には、研究となり、倫理審査が必要となります。
なお、1症例報告で倫理指針上の臨床研究に該当せず倫理審査は不要とされても、個人情報保護法に則った対応が必要となる場合もあり、注意が必要です。
※詳細は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」及びガイダンスをご覧ください。
出典:日本薬剤師会 臨床・疫学研究推進委員会作成 「倫理審査対象研究フローチャート」Ver4(2022年7月)
★倫理審査が必要な研究テーマの例(2018年9月日本薬剤師会)
・ 患者に対してアドヒアランスをアンケート調査する研究
・ 吸入指導の前後に手技を評価する研究
・ 過去の薬歴を調査して、副作用発現率を明らかにする研究
★入門編 調査研究 アンケートをする前に
作成:東京都薬剤師会 発行:神奈川県薬剤師会 平成30年3月
【倫理審査を受けるために】
●研究倫理指針について学びましょう
・人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(本文)(令和5年3月27日一部改正)
・人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス(令和5年4月17日)
・施行通知(令和5年3月27日)
・「人を対象とする生命科学系・医学系研究に関する倫理指針」説明資料(令和5年4月17日)
●研究倫理に関する研修を受講しましょう(必須)
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」では、「研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続(少なくとも年に1回程度)して、教育・研修を受けなければならない」と定めています。
研究に関わる研究者等(研究責任者だけでなく、分担研究者も含む)は、研修倫理に関する研修を受け、申請時に研修終了証のコピーを添付しなければなりません。
※ 受講していない研究者は、受講するまで研究に関与できません。
◇神奈川県薬剤師会主催 研究倫理に関する研修会
(神奈川県薬剤師会主催研修会一覧よりご確認ください)
◇日本薬剤師会JPALS e-ラーニングコンテンツ
◇APRIN eラーニングプログラム(CITI Japan)
◇臨床試験のためのe-Training center
◇ICR臨床研究入門
【研究計画書を作成する】
「人を対象とした医学・薬学系研究チェックリスト(第3版)」(千葉県薬剤師会薬事情報センター)
研究計画書の記載項目 (2022 年 11 月 2 日改訂版)(PDF版)
◇研究計画書の記載例(日本薬剤師会)
・研究計画書記載例(アンケート調査 1機関)(Word)
・研究計画書記載例(アンケート調査 3機関)(Word)
・研究計画書記載例(侵襲なし・介入なし)(Word)
・研究計画書記載例(軽微な侵襲あり・介入あり)(Word)
【倫理審査を受ける】
①研究責任者は、審査会事務局を通して審査会へ審査を依頼する
審査会は原則として年4回開催されます。[5 月 (申請書等の締め切り:4 月 10 日) 、8 月 (同:7 月 10 日) 、11 月 (同:10 月 10 日) 、2 月 (同:1 月 10 日)]
【提出書類】
(1)倫理審査申請書(様式1)(PDF版・Word版)
(2)研究計画書
(3)説明文書、同意文書、同意撤文書
(4)利益相反自己申告書(様式2)(PDF版・Word版)
(5)研究責任者の経歴書(様式3)(PDF版・Word版)
(6)倫理審査申請チェックリスト(様式4)(PDF版・Word版)
(7)研究倫理審査に関する研修修了証のコピー
(研究者全員分の研修終了証のコピーが必要です)
(8)その他委員会が必要とした資料
〔申請費用〕
申請者が本会 会員: 11,000円(税込)
申請者が本会非会員: 33,000円(税込)
・振込手数料は申請者のご負担とさせていただきます。
・審査を申請した研究が、倫理審査不要(倫理指針の対象外)との判断になった場合でも、申請費用の返金はいたしませんのでご了承ください。
〔郵送先〕
〒235-0077 神奈川県横浜市磯子区西町14番11号神奈川総合薬事保健センター2階
公益社団法人神奈川県薬剤師会 倫理審査会宛て
②審査事務局において申請書類の確認
※不備がある場合は、審査事務局より申請者へ再提出を求める。
③委員長(または委員長が指名した審査員)により、申請研究が審査会の適用範囲か否か判断
※適用範囲外である場合は、審査会事務局より倫理審査報告書(非該当)を研究責任者
に通知。
④委員長(または委員長が指名した審査員)により、通常審査と迅速審査の別を判断
※次のいずれかに該当する審査について、委員長が指名する審査員による迅速審査を行うことが
できる。
(1) 他の研究機関と共同して実施される研究であって、既に当該研究の全体について共同研究機関において倫理審査を受け、その実施について適当である旨の意見を得ている場合の審査
(2) 研究計画書の軽微な変更に関する審査
(3) 侵襲を伴わない研究であって介入を行わないものに関する審査
(4) 軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないものに関する審査
(5) 公衆衛生上における危害の発生と拡大防止のための緊急の研究
⑤通常審査会の開催
※年間スケジュール
年4回 / 5月、8月、11月、2月 (申請書類の提出締め切りは前月の10日)
※判定が「継続審査」の場合、研究責任者は申請書等を修正し、原則1か月以内に提出する。
⑥倫理審査報告書の提出
※審査会事務局は倫理審査報告書 (様式 5) (PDF版)を作成し、研究責任者へ通知する。
【研究開始後、研究計画を変更する】
研究計画を変更する場合は以下の申請書を提出してください。
【研究を終了(中止)する】
研究を中止するとき、研究が終了したときは以下の報告書を提出してください。
◆神奈川県薬剤師会 人を対象とする生命科学・医学・薬学系研究の倫理審査業務手順書
【神奈川県薬剤師会「倫理審査会」に審査申請に関するお問合せ先】
電話番号:045-761-3241(代)
【神奈川県薬剤師会「倫理審査会」に審査申請する場合の申請書類の郵送先】
〒235-0007 神奈川県横浜市磯子区西町14番11号
神奈川総合薬事保健センター2階
公益社団法人神奈川県薬剤師会 倫理審査会 宛て